(3)あなたの家は何年もったら良いんでしょうか?

家は完成した瞬間から劣化が始まる。

例えば、30歳で家を建て、90歳まで生きたとして、60年です。
では、あなたの家は60年もつと思いますでしょうか?

昔の日本家屋は、100年は持ってました。また、神社やお寺は200年以上が当たり前。
ですから、家を建て、あなたの寿命が尽きるまで住み続けることは、基本的に可能なはずです。
ただし、そのためには、メンテナンスをし修繕していく事が必要だと思います。

100年住める家は、もちろん骨組みなどがしっかりした造りです。
そして、メンテナンス、修繕をきちんと行ってきたからこそ残っていると思います。

家は完成した瞬間から劣化が始まります。
でも、自分の家をいつまでも美しく、そして住まいの基本性能を維持し、快適に暮らしたいと誰もがお考えになると思います。

では、そのためにどんなことが重要なんでしょうか?
それをこれからお話させて頂こうと思います。

家のメンテナンスは必要経費。

住宅会社が組んでいるメンテナンスのスケジュールはそれぞれ違います。

ある会社では、3カ月、1年、2年、5年、10年、15年、20年目の合計7回無料点検。
その後30年、40年、50年、60年に有料点検を行います。

時期も有料か無料かも各社各様。
また、耐久性も違うので、住宅会社によってメンテナンスの考え方もさまざまです。

ですから、想定している補修や交換の内容もいろいろです。

現在は、住宅品質確保促進法(品確法)で、住宅の基礎などの構造と、雨漏りなどについては、10年間の瑕疵補償がついています。
しかし、定期点検などのアフターメンテナンスについての細かい規定はありません。

メンテナンスは必要経費と考えて頂ければと思います。

現在の家は昔に比べると、基礎や床下の防湿工事がしっかりしているので、柱や梁の太さが昔と比べてやや細くても十分長持ちします。
給排水や給湯などの配管も昔と比べると長寿命のものが使われています。
適切なメンテナンス・修繕を行えば長寿命の家になるはずです。

結露やシロアリの被害がなければ、家はまず外部の仕上から傷んできます。その後に内部の構造部分が傷んできます。
仕上部分が傷んだ時点でメンテナンスを行えば、内部の構造部分にまでは痛みが進みませんね。
構造部分がしっかりしていれば、建て替えることなく住み続けることができると思います。

屋根・壁などの外装材は、毎日風雨にさらされ、太陽に照りつけられ、私たちを守ってくれています。
ですから、必要経費と思い、メンテナンスはしっかりするように心掛けて頂ければと思います。

ただ最近は設備部分のトラブルが原因で住宅の痛みが進行してしまうケースも少なくありません。
水漏れや結露があるとすぐに腐ってしまいます。

設備機器の寿命は10年〜20年と言われています。
しかし、快適性を少しでも長く保つためには、設備機器も定期的なメンテナンスが重要です。

住宅メンテナンスは人間で言えば健康診断と言えると思います。業者任せにせず、自己管理を心掛けるのが大切だと思います。
目に見える箇所はもちろんのこと、見えない箇所も早めのチェック、そして修繕を行ってください。

そうすれば大事には至らず、結果としてローコストなメンテナンス費用で済みます。

あなたの住宅の痛みを確認しよう (外装材編)

長く住んでいると色々な場所に不都合が出てくるものです。

リフォームの計画を立てるには、まず傷んでいる部分を把握しなくてはいけません。

傷み具合で、住宅会社が決めたメンテナンスプログラムを待つのか、今すぐ自分で修繕した方が良いのかも判断されてはどうでしょうか。
屋根に上るのはとても危険です。
下屋など、バルコニーや窓から眺められる範囲で判断しましょう。

屋根の防水性能の目安は約30年と言われていますが、屋根材はどうでしょうか?
粘土系(瓦)・ さまざまな色、形(和瓦から平型の洋風など)があります。

・ 色合いの変化は生じても劣化を示すわけではありません。

・ 割れやヒビ、欠損があった場合は早急に修理する必要があります。

・ 隙間から雨水が浸入し、下地が急速に劣化する恐れがあるからです。
セメント系・ 上部の塗装が劣化しやすいので注意が必要です。

・ 劣化すると白っぽく脱色してくるのでチェックしてください。

・ 塗装が劣化するとセメント部分までもろくなるので、定期的に再塗装が必要です。

・ 塗装は一般的に10年くらいもちますが、フッ素塗装は20年程度の耐久性があります。

・ 瓦より薄く、勾配が小さい場合も多いので、劣化が早くなるケースもあります。より頻繁なチェックが必要です。

金属系・ 軽量で地震に強く、水分を吸収しません。機能とデザイン共に優れているものが多いです。

・ 金属系で代表的な『トタン(亜鉛メッキ鋼板)』は、基材・塗装面共に同じ耐久性を持っています。塗装が剥げた場合は再塗装か吹き替えかは住まい手が判断できます。
 ただし塗装の付着性があまり良くないので、再塗装の場合はリフォーム周期が短くなるので注意しましょう。

・ 最近よく使われている『ガルバリウム鋼板』も、基材・塗装面共に同じ耐久性を持ちます。塗装が剥げた場合は再塗装か吹き替えかは住まい手が判断できます。

・ 破損したり、劣化で錆が生じた場合には葺き直しが必要です。葺き方によって一部分だけの葺き直しができない場合もあります。

・ メンテナンス性を重視するなら、業者に相談して部分的な交換ができる葺き方にしましょう。

・ 神社などの屋根に使われている『銅板』は、耐久性が高い材料です。ただし、柔らかいため強風に弱く酸にも弱いので、破損や腐食による葺き直しが必要になります。

・ 『カラー鉄板』は塗装の耐久性が全てです。塗装が剥げると急速に錆びが進みますから、頻繁にチェックしてください。塗装が傷んだら急速な再塗装のリフォームが必要です。

・ 住まいを長持ちさせたい場合は他の材質での葺き直しをお勧めします。


 
外壁もチェックするときは、高いところに上ったりしないでください。

1階の外壁など、手が届く安全な場所で確認しましょう。

  

サイディング・ まず『窯業系サイディング』は、塗装部分の劣化でサイディングの寿命まで決まってしまいます。

・ 塗装部分の耐久性は早いもので5年から、長くても20年程度。
・ 劣化してくると表面に細かいヒビが入り水に弱い基材部分に雨水が侵入してしまいます。ヒビを発見したら、早めに再塗装をしましょう。

・ 塗装の痛みが進み、基材部分が柔らかく膨らんでいる場合は、サイディング自体の交換が必要です。
金属系サイディング・ 『金属系サイディング』は、ガンバリウム銅板や亜鉛メッキ銅板の上に塗装を行ったものが多いですね。

・ 屋根と同様、基材は錆びにくいので塗装が劣化した場合でも住まい手の判断でリフォーム時期を判断してください。

・ 裏に断熱材が貼ってある場合は、断熱材の劣化も問題となります。断熱材は条件によって、劣化のスピードが違います。
 断熱性能を重視するのなら、サイディング自体を取り換える必要もあります。

・ 基材部分の錆びや穴が見られる場合は、サイディング自体の交換が必要です。

・ もしカラー鉄板の上に塗装を行ったサイディングの場合は、塗装面が重要です。頻繁なチェックを心がけてください。
木質系サイディング・ 『木質系サイディング』は、天然木、合板、木片セメントなどを塗装したものです。断熱性能などに優れた機能を持っています。

・ 水が溜まらない作りで乾燥しやすい状態であれば、木自体が腐食することはほとんどありません。

・ 汚れ色が気にならなければメンテナンスはほとんど必要が無いといえます。

・ きれいな木の色を保ちたい場合は、木材保護剤を数年ごとに塗り直す必要があります。

・ 破損や穴、腐食が見られる場合は、埋め木をしたり板の取り替えなどの修繕が必要です。
塗り壁・モルタル・ ヒビを発見したら防水処理を行ったり、再塗装を行う必要があります。

・ 塗装面の劣化は、大抵の場合色あせてきて表面がもろくなるのでチェックしてください。

・ モルタル下地の場合、塗装面のひび割れから水が浸入し劣化が進みます。

・ モルタルが劣化し、軽く叩いても割れるような状態の場合は、外壁全体の修繕が必要です。

・ 最近、健康住宅への関心が高まったことから、『漆喰や珪藻土など自然素材の塗り壁』も増えています。下地が水に弱い場合が多いので、ヒビや破損、剥がれを発見したら早急に修繕しましょう。
 劣化すると変色しもろくなり、粉っぽくなるのでチェックしてください。

・ 寿命は、材料と左官の腕によって大きく異なります。

・ 定期的なチェックが重要です。 
タイル貼り・ タイル自体の耐久性はかなり高いです。しかし、下地の変形や、下地の付着力が弱くなった場合に起こるタイルの割れがあります。
 下地の変形の原因を修理せず張り替えるとまた割れが生じる可能性があります。原因をよく調べ、対策した上で張り替えましょう。

・ タイル下地の付着力は、タイルの表面を叩いてみると浮いている感じがわかるので、時々確認してください。タイルが脱落すると危険です。
コンクリート打ち放し・ 汚れやコケの発生があります。汚れを防ぐには、撥水剤を数年毎に塗り直す対策。

・ コンクリートはアルカリ性です。しかし外気の影響などで中性となり、内部の鉄筋が錆びてしまいます。ひび割れがあるとその部分だけ早く進んでしまいます。
 厚紙が入る程度のひび割れを発見したら、早期の修繕が必要です。
 中性化した部分をアルカリ性に戻す処理を行う必要があります。

・ 鉄筋の腐食が進み破損している場合は、破損部分を削り取り、鉄筋を補強後コンクリートを補修します。

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あなたの家の屋根や外壁の点検について

雪の融けるころ、入梅の前、台風に備える夏と、毎年3回程度を考えておくと良いのではないでしょうか。

大きな台風などがあった場合は、天候が回復した後、点検しておくとより安心ですね。 


もし、あなたの家を中古住宅で売るとしたら、そのときの価格にも影響

話題が少しずれるかもしれませんが、もし何らかの事情で、住宅を売ることになった場合。

日ごろのお手入れ、メンテナンス、修繕をきちんとしていれば、美観プラス性能も維持されているはずです。

つまり、住宅価値が高く、より高く売れることになります。

住宅性能表示制度をあなたはご存じですか?

住まいの劣化や不具合など、現況と性能を評価するものです。
国土交通大臣に登録を行った「登録住宅性能評価機関」の評価により、価格設定することも可能です。

この性能表示制度は義務ではなく任意の制度で有料ですが、新築住宅でも、中古住宅でも利用できます。
適切な維持管理、修繕・リフォームにも役立つので、是非覚えておいてくださいね。

あなたの家の「日ごろ簡単にできるお手入れ」について

ちょっとしたことですが、お手入れもメンテナンス同様、するかしないかで住宅の寿命は違ってきます。

1〜3か月・ フローリングのワックス掛け
・ 洗浄剤で排水口の掃除
・ ドアの蝶番への注油やネジのチェック
・ タイルなど目地の漂白剤掃除
・ 良く触る部分のクロスの水ぶき
〜半年・ 雨どいのチェック(破損やゆがみがないか)と掃除
・ エアコンフィルターの掃除
〜1年・ 排水マスの点検と掃除
・ 網戸の洗浄
・ バルコニーなどのサビ等点検


メリットは、以下です。


お手入れやメンテナンスを心がけることのメリット・ 住まいを美しく保つことができる

・ 耐久性を維持することができる

・ 早めに発見することで、小さな範囲での修繕となり費用が抑えられる

・ 住まいの現状を正確に把握することで、修繕を計画的におこなえる。(効率よく済ませたり、費用を調節することができる)

・ 住まいを大切にする気持ちから愛着が深まる

あなたにとって住宅とは、大切な家族とともに生活をしていくための基礎となる場所

たくさんの思い出が生まれる大切な場所です。

いつまでも愛着ある住まいで、快適に暮らしたいものですね。